インターナショナルスチューデンツ(IS)のためのオリエンテーションが、25日に始まった。これは、30日からの、アメリカ人も含めた新入生全体オリエンテーションより先に、海外から来た学生たちのために特別に行われている。
オリエンテーションは、大学の様々なオフィスの職員およびリソースセンター* の職員たちによる説明や、彼らの仕事について理解を深めるためのアクティビティなどによって構成されている。
とても新鮮かつ驚きなのが、大学職員たちがとても情熱的に自分たちの役目を語り、学生たちに積極的に手を差し伸べようとしていることである。
「誰に聞けばいいか分からないときでも、とりあえず聞いてくれたら詳しい人につなげてあげるよ!」
「みんなが抱えているどんな小さな不安 ーそれが学業のことでも、生活のことでもー を取り除いて、最高の大学生活を送れるようサポートするのが我々の仕事だから!」
と、どの職員も力強く訴える。
これに対し、日本の大学職員は、学生の目に触れない、なんとなくアクセスの悪いところに事務室を構えて、粛々と事務仕事を片付けているイメージがある。時には、「これはうちのオフィスの管轄じゃないですね~」とだけ言って、じゃあどこへ行けば良いのかも教えてくれない、みたいなこともある(個人の体験談です。一般化はできません。)
この違いはなんなのだろう、はて、、、?
わたしがこれまで通った日本の大学とアマースト大学での、「大学生活」あるいは「大学の役目」の理解の違いにそのヒントがあるのではないか。
多くのアメリカの大学では、学生はキャンパス内の寮かすぐ近くのアパートに住み、一日のほとんどを大学内で過ごす。授業も、部活も、アルバイトでさえ、"on campus(キャンパス内)"で行われる。つまり、大学生活とそれ以外の生活を切り離すことは出来ない。プライベートな部分もすべてひっくるめて「大学生活」なのだ。
ここでは、大学とは、単に高校の次に進学する、学問提供機関ではない。高校までの教育機関とは異質の、自分の人生設計を必死になって考え、学問し、クラブ活動にも勤しみ、友人たちと政治・経済の話をする傍らで激しくパーティもする、特別な世界である。入学から卒業まで、学生たちは「大学生活」から逃れられない。
従って、ここの大学職員の果たす役割や、期待される働きは、日本におけるそれよりも格段に大きく、また重要になってくるのだ。
進路・就職相談、授業についていけないと感じる学生のメンタルケア、寮の居住環境の整備、飲酒・喫煙・ドラッグの問題、パーティやソーシャル(交流会)などのイベントの開催、栄養管理、恋愛・友人関係の相談など、ありとあらゆることに対応する。そして、アマーストでの大学生活が "Life-changing experience" (人生を変える経験)になるように尽力するのだ。
人生に占める「大学生活」の意味を色々と考えるのも、私が既に一度それを経験しているからかもしれない。ICUでの生活もとても充実していたけど、入学時点で、その四年間が二度とは戻らない貴重なものであることを知っていたなら、もっと別の歩み方も出来たかもしれないなあ、、、と思う。
さあ、私はこの先二年間の「大学生活」をどう過ごそう。
Converse Memorial Library (通称: Converse Hall)は、
上記のリソースセンターが複数入っている建物で、
新入生が多く住む寮の近くに建っている
*1 リソースセンター:学生のための「リソース」という言葉や概念は日本人にはなかなか理解しにくいかもしれないが、学生生活のあらゆる問題への対応や解決に際して「資源 (=resource)」となってくれる16のオフィスや研究所である。例えば、
・Accessibility Services(障害やセクシュアルアイデンティティなどの理由で、既存の施設が利用しづらい等の問題に対応)、
・Student Activities(部活動、サークル、委員会などのとりまとめ)、
・Religious Life(学生たちの多様な信仰、宗教生活を支援)、
・Queer Resource Center(ジェンダーやセクシュアリティに関する豊富な資料を持っており、その多様性の理解を深めるためのイベントなども随時開催)など。